第十話 遊郭
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突如上空から降ってきた女性の存在に地上は騒然となる。鬼は悠々と屋根へ降り立ち、騒ぎなど意に介さず自室へ戻る。
しかし次の瞬、鬼はハッと息を呑んだ。
部屋の奥、華やかな装飾の施された桐箱の上に一人の男性が腰掛けていたのだ。
「調子はどうだ?」
男性の声が悠然と夜闇に調和して響く。
「無惨様⋯!!」
鬼舞辻無惨。全ての鬼の首魁たる存在。
無惨がゆっくりと顔を上げる。獣のように縦に瞳孔の開いた紅い瞳が夜闇に薄っすらと煌めいている。
「随分人間を喰ったようだな。以前よりもさらに力が増している。良いことだ」
鬼は恭しくその場に身を伏せた。
「しかし油断するな。うまくことが運んでいる時程足は掬われやすい」
「承知致しました」
「鬼殺隊でも手練れの者⋯柱などはすぐに此方が鬼だと看破する。
しかし此方からは柱程実力のある者以外人間など視ただけでは殆ど違いがわからない。血の種類や病気、遺伝子など人間に判らないことは判別できるが⋯」
無惨は徐ろに立ち上がって、その名を呼んだ。
「“堕姫”」
“堕姫”こそ無惨より賜った鬼の名だ。
「はい」
名を呼ばれた事により堕姫は歓喜に震える。
「はい、無惨様!!」
堕姫の見つめる中無惨はゆったりと堕姫へ近づいて、その頬に手を触れた。
「私はお前に期待しているんだ。お前は誰よりも美しい。そして強い。
甘言は甘く痺れる快楽のように堕姫の全身に染み込んだ。
善子ちゃん、善子ちゃん⋯⋯遠く意識の隅にそんな声が聞こえて、善逸は飛び起きた。
四畳半ほどの板の間は所狭しと荷物が敷き詰められており、そこに布団を敷いて寝かされていたのだ。
布団の足元を囲むように座っていた少女達が三人、心配そうに雲らせていた表情を安堵の笑みに緩ませる。
「よかったぁ」
「大丈夫?善子ちゃん」
いとけなくも華のあるその雰囲気に、善逸は思わず頬を染めた。
一瞬舞い上がりかけたが、ふと自身の置かれた状況が気になって、少女達に問い掛ける。
「俺⋯どうしたの?」
「善子ちゃん⋯殴られて気絶しちゃったのよ」
その言葉で善逸は自身の目的と状況を思い出し、
「そうね⋯私、善子だったわ。男になった夢をみてたの」
頬に手などあててわざとらしくしなを作った。
「ご飯持ってきてあるから、食べてね。これでほっぺた冷やして」
少女の一人がよく冷えた手拭いを差し出してくれたので有り難く受け取って、頬に当てる善逸。
じんじんと熱を持った痛みに顔を顰め、思わずイタタタタタ⋯⋯と声が漏れる。
「大丈夫?」
少女達が心配そうにするので、安心させてあげたくて、善逸は笑顔を見せる。
「見かけほど酷くないよ。多分⋯」
優しい声でそう言うと、
「善子ちゃん、有り難う」
思いがけず礼を言われた。何の事かわからずに戸惑っていると、少女は続けた。
「私を庇って、こんな目に⋯⋯」