第十話 遊郭
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ーー4、動き出す
時は少し前に遡る。少女は華美な衣装を完璧に着こなし、艶やかな夜の花街に決して引けを取らない存在感でもって悠然と佇んでいた。
極彩色の濃密な灯りに白い美貌が映える。
すっきりとした輪郭に縁取られた異国の人形めいた顔立ち。
透明感のある大人びた雰囲気とは裏腹に、僅かに丸みを帯びた頬と、上向きにカールした長い睫毛に縁取られてうるうると煌めく大きな瞳が、あどけない印象を与える。
仄かな血色を帯びた白い肌。呆れるほどに華奢だが、それでも女性らしいラインを描く体躯。
一人の少女の中に、少女らしいあどけなさと大人の色香が絶妙なバランスを保って混在している。
有須沙羅はそういう少女だった。
大人と子供の
どちらにせよあまりにも危うい。それは
時透の判断は正しかったと認めざるを得ない。
不用意に遊郭へ放り込めば、あっという間に客に見初められ、彼女には相応しくない世界へと掻っ攫われていたに違いないのだから。
「私は遊郭へ潜入しなくてよかったのでしょうか」
「お前には他にやってもらう事がある」
少女の疑問をぴしゃりと遮り、宇髄は歩き出す。
有須沙羅には外部からの情報収集に徹底させた。
暑い!脱ぎたいぜ、脱ぎたいぜ!!こんなもん着てたら感覚が鈍って仕方ねぇ!!
女性と見紛う可愛らしい顔を盛大に歪めて、ぎりぎりと歯噛みしながらも潜入捜査へ勤しむ伊之助の耳が、ある名前を捉えた。
「
「部屋に閉じ籠もって出て来ないけど、具合が悪いって言ったきりで病院にもいかないし、そろそろ女将さんに引きずり出されちゃうわよ」
「私今ご飯持って行ってあげたのよ。とりあえず部屋の前に置いてきたけどさ」
まきを。宇髄の嫁だ。やっと名前を聞けたぜ。
物影に潜み、伊之助は思考を巡らせる。
具合が悪い⋯⋯それだけで連絡が途切れるか?行ってみるか。
「さっきの女はこっちから来たな」
低く呟き、そちらへ足を向けた時、背後から声を掛けられた。
「あら、伊之子ちゃん」
「慌てると危ないよ」
伊之助は女性達に軽く会釈をして、背を向けた。
「静かな子ね⋯」
呆れたような声を背後で聞き流しながら、脳裏に浮かぶのは宇髄の姿。
相変わらず無駄に尊大な態度で此方を指差して曰く、お前は声が太いから絶対喋るなよ。裏声も下っ手くそだからすぐ男だってバレるぞマジで。
どうしろってんだ、畜生⋯⋯!!再びぎりぎりと歯噛みをする伊之助。
建物の中で暮らす、着物を着るなどの生活は伊之助にとって拷問に近かった。
喋れないため情報の収集にも難儀していた。