第十話 遊郭
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーー3、アドバンテージ
遊郭を去っていく無一郎の背中を見守った後、沙羅は宇髄と向き合って互いに観察するように見つめ合っていた。
宇髄はまるで出来過ぎた彫刻のように整った顔立ちをしている。
首筋に沿う白い髪を無造作に肩へ流し、艶やかな着流しを着崩した姿。
それらが絶妙に大人の色気を漂わせ、艶やかな夜の花街に見事に溶け込みつつ、同時に何とも言えない存在感も放っていた。
「お前やっぱり派手に綺麗だな。その衣装もよく似合ってる。天才ってのは女への贈り物もそつがねぇのか」
「え⋯⋯?」
「お前の衣装は時透が用意したんだよ。時々は着てやれ」
「ーー!」
疑問に思ってはいたのだ。沙羅の衣装だけが必要以上に豪奢だった事。
それは財力を主張する事で、売りものではないと周囲を牽制するためのものだったのだ。
「行くぞ」
早々と踵を返した宇髄の後について、沙羅も歩き出した。
「私は遊郭へ潜入しなくてよかったのでしょうか」
「お前には他にやってもらう事がある」
沙羅は知らない。沙羅が無一郎へ許可を取ったすぐ後に、無一郎は宇髄へ鎹鴉を飛ばしていた。
任務の同行は許可する。しかし、有須沙羅の遊郭内部への潜入捜査については許可する事能わず、と。
それでいいと宇髄は思う。だからこそ遊郭内部の潜入捜査から沙羅を外したのだ。
「やってもらう事とは」
「お前は調べ物が得意だと時透から聞いてる。お前には俺の調査の補助をしてもらう。そしてーーお前の扱う宵の呼吸。その新たな技を編み出せ」
想定外の指令に息を呑み、思わず足を止める沙羅を振り返り、宇髄は言う。
「お前の弱点は胡蝶と同じだろ」
⋯⋯その通りだ。体質的に脂肪も筋肉も付きづらい沙羅は、肉付きも薄く、人よりも華奢だ。
鬼の頸は切れるが、同じ柱の継子である栗花落カナヲに比べれば、その膂力は若干劣る。
しかし、それでも。
「克服してみせます。時間を下さい」
決意を胸に、宇髄を見据える沙羅に、しかし宇髄は意外な事を告げた。
「弱点の克服はいい。それよりお前の強みを磨け。派手にな」
「強み⋯⋯」
宇髄の言わんとする事は分かる。沙羅の強みは、その恐ろしいまでの手先の器用さがなせる超絶技巧。
「承知致しました」
真摯な眼差しで宇髄を見つめる沙羅。宇髄は満足げに僅かに微笑った。