第十話 遊郭
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
無一郎もまた独自に遊郭について調べてみたのだ。
結論としては、確かに遊郭には鬼が潜んでいる可能性が高かった。
今までも幾人かの鬼殺隊士が派遣され、その中には柱もいたようだが、帰還した者はないという。
となれば、鬼は十二鬼月、更に言えば上弦である可能性が高い。
如才ない沙羅の事だ。この事実は事前に調べ上げ、承知済みのはずだ。
できればそんな場所へ沙羅を向かわせたくはない。
常に手元に置いて、自分だけが沙羅を守ってやりたい。
⋯⋯だけど、沙羅はそれを決してよしとしないだろう。
人々を、ひいては柱である無一郎すら、守るために強くなろうと必死に足掻いている。
それでこそ無一郎が好きになった有須沙羅という少女なのだから。
ならば信じて送り出そう。
遠く道の向こうに宇髄の姿が見えた。無一郎はゆっくりと瞳を伏せた。
「沙羅」
足を止めて、沙羅と向き合う。その両の手をふわりと握り込んだ。
「必ず帰ってくるんだ」
無一郎の言葉に、沙羅は真剣な眼差しで頷いた。
「承知致しました」
その言葉に嘘はないと信じて、無一郎はふわりと微笑った。
そうして前髪越しにその額へそっと口付ける。
「⋯⋯⋯師範、」
案の定沙羅はじとりと半眼で此方を睨み上げて、抗議の意を示した。
「文句は帰ってから聞いてあげる」
ぼんやりとしつつも何処か悪戯っぽく微笑う無一郎を、沙羅は呆れたような瞳で見つめて、そしてーー
「仕方のない人ですね。文句なら山盛りありますから、帰ったら全部聞いてもらいますから」
少女らしい愛らしさと、大人の色香が不思議と調和した、魅惑的な笑みを浮かべた。
また、その笑い方。無一郎の大好きな、沙羅特有の笑顔。
無一郎もまた微かな笑みを返す。
そうこしているうちに、いつの間にか近づいていた宇髄と合流した。
「やっぱり来たか、時透」
無一郎の行動を予測していたかのように、宇髄はたいして驚いた様子もない。
そんな宇髄を真摯な眼差しで見つめて、無一郎は言った。
「沙羅を頼みます」
宇髄は暫く無言で無一郎を見つめ返して、ごく静かに答えた。
「承知した」
沙羅の遊郭での戦いは、こうして幕を上げたのだった。