第十話 遊郭
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ーー1、人攫い
「ふざけてるの?」
音柱宇髄天元の潜入捜査のチームに加わりたい旨を無一郎へ伝えたところ、即座に返ってきた第一声がこれだった。
ゾッとするほど低い声と据わった眼差しが、彼の怒りの深さを物語っている。
潜入先が遊郭である事は伏せているにも関わらず、この怒りよう。
もしも事実が露呈したら、絶対に許可は降りないだろう。
それでは困る。無一郎の運命を左右する戦いーー黒死牟との戦いに備えて、上弦の鬼との戦闘経験値を得る必要があるのだ。
沙羅は慎重に言葉を選んで、真摯に無一郎を説得した。
そもそも何故こんな事態になったのか。
話は数時間前まで遡る。
煉獄が柱を退いてから四ヶ月の月日が経った。
そろそろ遊郭での戦いが始まるであろうと踏んだ沙羅は、頻繁に蝶屋敷を訪れていた。
沙羅が訪ねるたび蝶屋敷の面々は歓迎してくれる。有り難さ半分、申し訳なさ半分の複雑な心境になる。
しかし上弦の鬼との戦闘経験値を得るためにも、この戦いを逃すわけにはいかない。
そんな訳でここ数日、沙羅は“カナヲと手合せ願いたい”とそれらしい理由をつけて、その実いつ宇髄が現れてもいいように蝶屋敷を見張っていたのだ。
「沙羅さん、いつもお土産有り難うございます」
「このお饅頭とっても美味しいです」
持参した土産の菓子を、嬉しそうにはうはうと頬張るきよ達の姿は癒やされるものがあった。
そのあまりの可愛らしさに頭を撫でたい衝動に駆られるが、ぐっと抑える沙羅。
「そういえば、なほちゃんは一緒じゃないのね?」
こくりと首を傾げて尋ねると、
「なほちゃんはーー」
きよが答えかけた、その時だった。
「きゃあああああっ!!」
玄関先からけたたましい悲鳴が聞こえてきたのだ。
⋯⋯来た。何事かと狼狽するきよ達を尻目に、沙羅は即座に玄関へと向かった。
扉を開け放つと、そこには予想通りの光景が広がっていた。
音柱、宇髄天元の姿。彫刻のように整った顔立ちと左側の目元に施された独特な化粧、派手な出で立ち。そして圧倒的なバルク。
宇髄はなほとアオイ、二人の少女を軽々と抱えて蝶屋敷を去ろうとしていた。
「やめてくださぁい」
「はなしてください〜〜」
遅れてやって来たきよとすみが涙ながらに訴えるが、当然聞く耳を持たない。
「うるせぇな。黙っとけ」
沙羅の隣では、カナヲが冷汗をかきながら凝然として宇髄達を見つめている。
沙羅は暫くは動かず、カナヲの動向を見守った。