第八話 無限列車
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ーー5、線引き
沙羅の知る未来が変わって二日が経った。
煉獄の死を阻止する事に成功したのだ。
とはいえ煉獄は隻眼となり、また内臓の損傷も激しく、柱の引退を余儀なくされていた。
しかしこれは大きな一歩だ。努力次第では未来を変える事が出来るとわかったのだから。
悲しい事だが煉獄の死が炭治郎達を大きく成長させていた。
その未来までも変えてしまった事になるが、炭治郎達ならばきっと大丈夫だろうう。
煉獄の死がなくとも、炭治郎達ならば、きっとこれからも成長していく。
沙羅はそう信じている。
「また随分と無茶をしたようですね」
しのぶには説教を喰らってしまったが。
「貴女のそのお腹の傷。しっかり止血はしていたようですが、内臓が傷ついている以上、安静にしている事が必要でした」
相変わらず柔和な笑みを浮かべてはいるが、その額には確かに青筋を立てている。
柱の威圧感は凄まじく、はっきり言って怖かった。
「申し訳ありません」
しょんぼりと肩を落とす沙羅を見て、しのぶは微苦笑を浮かべた。
白く小さな手が沙羅の手を優しく握る。
「貴女が死んでしまったのでは元も子もありません」
「はい」
「貴女が死んでしまっては、皆悲しみます。勿論私も悲しいです」
「しのぶさん……」
「どうか気をつけて」
「わかりました」
素直に聴き入れる沙羅の姿にしのぶは安堵の滲む表情を浮かべて、言った。
「よく頑張りましたね」
その優しい笑顔は小雨のように、沙羅の心へ染み込んだ。
しのぶが去った後、沙羅はこっそり病室を抜け出して煉獄の病室を訪ねた。
「お加減は如何ですか?」
心配そうに尋ねる沙羅に、煉獄は明るい笑顔を向ける。
「うむ、問題ない!」
相変わらずはきはきとした口調で煉獄はそう言うが、その顔色は悪く額には脂汗が滲んでいる。
無理もない。苛烈を極めた戦闘でその肋骨は砕け、内臓も傷ついているのだ。
今もその痛みは相当なものだろう。早く鎮痛剤が効けばいいのだが……。
沙羅の表情が憂いに翳る。
「そんな顔をするな」
顔を上げると煉獄が穏やかな笑みを浮かべて此方を見ていた。
「俺がこうして今も生きているのは、あの時君の助力があったからだ。君には感謝している」
穏やかにそう語る煉獄の瞳の奥は優しさに満ちていた。
沙羅は敬意を込めて、深々と一礼した。
次に沙羅は炭治郎達の病室を訪れた。
病室の中は
沙羅は安堵の笑みを零すと、そのまま立ち去ろうと踵を返した。
すると、
「沙羅、来てたのか」
沙羅の匂いに気づいた炭治郎に呼び止められた。
「沙羅ちゃん!饅頭食べる?さっきこっそり貰ってきたんだ」
嬉々として善逸はそう言うが、貰ってきたというよりも盗んできた事を沙羅は知っている。
「私は……」
アオイの労力を思えば申し訳なくて遠慮しようとするが、
「食べなよ、食べなよ〜。遠慮しないで〜」
善逸はデレデレと表情を緩めて、くねくねしながら饅頭を目の前に差し出してくる。
戦闘の際は頼りになるのに、平生は女性を前にするとかたなしだ。
……ほんと、しょうがないんだから。
心の中で呟いて、苦笑する。
「有り難う。頂くね」
アオイの手作りの酒饅頭は、まだほんのりと温かくて、甘さは控えめで美味しかった。