第二話 齟齬
夢小説設定
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沙羅が実家へ戻ってから三日が過ぎた。
一体どうやって突き止めたのか、両親から連絡があり口止めも兼ねて一日だけ家に戻る事にしたらしい。
勿論お館様にはしっかりと許可を頂いている。
だが……遅い。
一日だけではなかったのか。
期間延長も含めてお館様には鎹鴉を通して逐一報告をしているようだが……此方へ一切連絡がないとはどういう了見なのか。
まぁ彼女に限って怠けているとは考えられないがーー
もしかたら、何かあったのかもしれない。
無一郎は暫く逡巡して、お館様の元へ自らの鎹鴉である銀子を向かわせた。
一方その頃実家で沙羅は父親を殴り飛ばしたい衝動に駆られていた。
不死川玄弥ではないが「いい加減にしろバカタレ!」という言葉が喉元まで出かかっているのを押さえつつ、
「ちょっと、いい加減にして下さい」
出てきた言葉はあまり変わらなかった。
「何故だ!相手は家柄も人柄も申し分ない殿方なのだぞ!しかも好物はイカ大根だ!!」
……また、始まった。沙羅はうんざりした。
この三日間お見合い、お見合い、お見合い三昧だった。
一体何処で見つけてくるのやら。
沙羅ちゃんはとっても魅力的だから、お見合いしたいという殿方が後を絶たないのよねぇ。
というのは母親の言。
まぁそのお見合いも、不細工メイクと奇抜な服装で全てぶち壊したが。
謎なのは見合い相手の好物が、大根の漬物だの、切り干し大根だの、大根おろし(これは料理と言えるのか)だの、大根料理ばかりで、何故かそれを執拗にアピールしてきた事だった。
「イカ大根だぞ!これも運命とは思わんのか!」
「毛ほども思いません」
「何故だ!?」
「そもそも何故大根に拘るのですか?」
「ふろふき大根もイカ大根も同じ大根の煮物料理ではないか!」
「ふろふき大根とイカ大根は全くの別物です」
するとここまで二人のやり取りををにこにこしながら見守っていた母親が口を開いた。