第八話 無限列車
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ーー4、上弦の参、来襲
ぐにゃぐにゃと不快な音を立てて肉片が沙羅達を見つめていた。
……体が崩壊する。再生できない。
負けたのか?死ぬのか?俺が?馬鹿な……馬鹿な!!
俺は全力を出せていない!!
人間を一人も喰えなかった……
汽車と一体化し一度に大量の人間を喰う計画が台無しだ。
こんな姿になってまで……!!
こんなに手間と時間を掛けたのに……!!
アイツだ!!アイツのせいだ!!
二百人も人質をとっていたようなものなのに、それでも押された。抑えられた。
これが柱の力……。
アイツ……アイツも速かった。
術をとききれてなかったくせに…!!
しかもあの娘!!
鬼じゃないか。何なんだ。
鬼狩りに与する鬼なんて、どうして無惨様に殺されないんだ。
くそォ、くそォ、そもそも……!!
あのガキに術を破られてからがケチのつき始めだ。
あのガキが悪い……!!
毒々しい赤みがかった紫色の肉手を、炭治郎へ必死に伸ばす。
あのガキだけでも殺したい何とか……
そうだあの猪も!!
あのガキだけなら殺せたんだ。
あの猪が邪魔した。
並外れて勘が鋭い。
視線に敏感だった。
あの小娘も……!!
桁外れの攻撃速度で俺の術を悉く潰した。
あの小娘さえいなければ……
「それは違う」
地面に横たわったまま少女は突然口を開いた。
魘夢は肉に埋もれた目を見開いた。
「私が手を出さなくても……彼なら乗り越えていたわ」
ぼろりと最後の肉片までもが崩れ去っていく。
ごろりと目玉が転がる。
負けるのか、死ぬのかァ……!!
ああああ、悪夢だあああ、悪夢だあああ。
鬼狩りに殺され続けるのはいつも底辺の鬼たちだ。
上弦。ここ百年顔ぶれの変わらない鬼たち。山ほど葬っている鬼狩りの柱さえも葬っている。
異次元の強さなのか。
あれだけ血を分け与えられても上弦には及ばなかった……。
ああああ、やり直したい、やり直したい。
何という惨めな悪夢……だ………。
魘夢が完全に崩れ去った気配を感じ取って、沙羅はゆっくり瞳を伏せた。
傍らでは炭治郎が、煉獄に呼吸の指導を受けている。
「呼吸を極めれば様々なことができるようになる。何でも出来るわけではないが、昨日の自分より確実に強い自分になれる」
沙羅は煉獄の話を傾聴しながら、その言葉を胸に刻んだ。
煉獄の顔が此方を向いた。
「君は既に止血ができているようだな。感心感心!」
「……有り難うございます」
煉獄が笑みを向ける。太陽のような明るい笑顔だ。
全てを包み込むような、温かくて安心感のある笑顔。
どうしても、意志に反して一瞬気が緩んだが、これから此処で起こる惨劇を知っている沙羅は、瞬時に気を引き締めた。
そんな沙羅を、煉獄が横抱きに抱え上げた。
「炎柱様……?」
流石に驚いて、瞳を丸く見開く沙羅。
「この汽車には医者が乗っている。今から君をそこへ連れて行く。竈門少年!」
「はいっ」
「有須の怪我は急を要する!彼女を先に診てもらうが、その後必ず此処へ連れて来るから、君はもう少しの間頑張れ!」
「はい!」
戸惑ったような視線を向ける沙羅達に、煉獄は温かく微笑んで、
「皆無事だ!怪我人は大勢だが命に別状は無い。君達はもう無理をせず、ゆっくり身体を休めろ」
安心させるよう穏やかにそう言った。
「有り難うございます」
安心したように微笑む炭治郎に、うむ、と静かに煉獄が頷く。しかし次の瞬間、轟音とともに凄まじい衝撃が辺りを揺るがせた。
ーー来た。
舞い上がる濃灰色の土煙の向こう、光る双眸があった。
長い睫毛の下で滾る闘志に光る瞳は、右に“上弦”、左に“参”と、はっきりと刻まれている。