第八話 無限列車
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「よォし、後はこいつをぶった斬るだけだ!」
鬼の首元で伊之助が言った。
その様子を見つめる視線があった。汽車の運転手だ。
運転手は肉壁を滑り降り、錐を構えて伊之助へ突進する。
「伊之助!!」
逸早く気付いた炭治郎が、間に入る。
「夢の邪魔をするな!!」
錐はーー炭治郎の上腕を裂き、沙羅の脇腹へ深々と刺さった。
伊之助がはっと息を呑む。
苦痛に顔を歪めながら、沙羅は運転手の延髄に手刀を打ち込んだ。
「刺されたのか!!」
「沙羅、大丈夫か!!」
「構わないで!!」
顔を歪めたまま沙羅は炭治郎の上腕へ視線を向けた。
押さえた手指の隙間から、血が溢れている。
ーー何という体たらくだ。
二人を庇いきれたのならまだしも、炭治郎にまで負傷させてしまった。
……迷ったのだ。沙羅はこうなる事を事前に知っていた。
助けるか、放っておくかを迷って、次の戦闘へ備えるために放っておく決断をした、……はずだったのに。
咄嗟に身体が動いてしまった。
その結果がこれだ。中途半端に過ぎる。
「放っておいて。今は自己嫌悪で吐き気がするの」
「沙羅……」
運転手を安全な位置へ運びながら、炭治郎が戸惑ったような視線を向けてくる。
「そんなクソ野郎放っとけ!」
「駄目だ、死なせない」
負傷した脇腹を押さえながら、沙羅はぎりっと奥歯を噛み締めた。
どうする……これではまともに動けない。
この状態で、猗窩座と戦う炎柱の援護に回れるほど、上弦との戦いは甘くない。
どうすればーー
「早く鬼の頸を斬らねぇと、皆保たねぇぞ!」
伊之助の言葉にハッと息を呑んだ。
そうだ。余計な事は考えるな。今は目の前の敵を倒す。その事だけに集中するんだ。
ドクン、と辺りが脈打った。
無数の手が沙羅達を捕らえんと伸ばされる。
「伊之助!呼吸を合わせろ、鬼の頸を斬るんだ!!連撃行くぞ!!」
炭治郎の腕の傷を見つめ、伊之助は黙ったまま指示に従った。
いったん間合いを取り、二人が構える。
殺気を感じ取った肉塊が二人へ襲い掛かった。
襲い来る肉塊を搔い潜り、伊之助と炭治郎が頸へ迫る。
血鬼術が発動した。
無数の目玉が炭治郎達を捉える。
「消え失せろ」
ーー宵の呼吸 伍ノ型 弾幕 神楽ーー
刹那、薄紅色の弾幕が散り、無数の目玉が灼き斬れる。
「糞がァ!!」
伊之助もまた目玉を切り裂き、鬼の頸へ迫る。
「行くぞォ!!ついて来い!!」
ーー獣の呼吸 肆ノ牙 切細裂きーー!!
斬撃で鬼の頸の骨が露出した。間髪入れず、炭治郎が迫る。
ーー父さん、守ってくれ。
この一撃で、骨を断つ!!
ーーヒノカミ神楽 碧羅の天ーー
日輪の輪郭のように、円を描いて猛炎を纏ったような刃が振るわれる。
それは頑強な頸の骨をも見事に両断した。
ーーギャアアアア!!
凄まじい断末魔が車体を揺るがし、汽車が脱輪する。
汽車は激しい揺れを伴って、大地を抉りながら横転した。