第八話 無限列車
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白刃が、肉塊を切り裂いた。
乗客から沙羅へ標的を変え、肉塊が迫る。
ーー宵の呼吸 肆ノ型 弾幕 禍星燎原斬ーー
一つの剣閃から弾幕が散り、肉塊を灼き斬る。
斬られた肉塊は、熱で灼き斬られた分、再生が遅い。
しかしそれでも追いつかいほどに、肉塊は次から次へと新たに湧いて出て、きりがない。
沙羅は眉を顰めた。
もっと攻撃の精度を上げなければ。
肆ノ型は基本の壱ノ型に弾幕を乗せた技だ。
ならば、弐ノ型へ弾幕を乗せてみるのはどうか。
ーーやってみる価値はある。
フゥゥゥ、と呼吸を深くした。
急迫する肉塊を睨み据え、銃を連射する。
肉眼では確認できないほどの凄まじい速度で、斬撃を放った。
刹那、剣閃から弾幕が散る。
無数の弾幕が四方へ散って、それは乗客を一切傷付ける事なく肉塊のみを灼き斬った。
宵の呼吸に伍ノ型が生まれた瞬間だった。
「うたた寝している間にこんな事態になっていようとは。よもやよもやだ」
赤みがかった金色の髪を揺らし、肉塊が迫りくる中を臆する事なく堂々と歩く。
「柱として不甲斐なし!!穴があったら、入りたい!!」
刀を構える。鍛え抜かれた脚が、地を蹴った。
刹那、轟音とともに猛炎を纏ったような激しい斬撃が汽車全体を包む。
その衝撃に、汽車全体がガタンと揺れた。
衝撃に伴う揺れが、沙羅の手元を狂わせた。
弾道が逸れて、それは眠ったままの乗客へ急迫する。
いけないーー!
咄嗟に乗客へ覆い掛かり、庇おうとした。
しかし、直前でそれは見事に両断された。
分断された弾丸が沙羅達の左右に逸れて、一つは座席の背凭れを抉り、もう一つは窓硝子を粉々に砕いた。
「うむ、弾幕か。見事な技だ!鬼側も再生に時間を要している!」
「炎柱様……!」
漸く彼が目醒めたのだ。
乗客を抱き締めたまま振り返って、煉󠄁獄の姿を確認する沙羅の胸を、どうしようもない安堵感が満たす。
いけない、これは甘えに他ならない。
瞬時に気を引き締める沙羅の姿を見て、煉獄はうむ、ともう一度力強く頷いた。
「君なら既に状況を理解していると思うから、これからの指示を出す!」
「はい」
「この汽車は八両編成だ。俺は後方五両を守る!残りの三両は黄色い少年と竈門妹が守る!
君は竈門少年、猪頭少年とともにその三両の状態に注意しつつ鬼の頸を探せ!!」
「承知致しました」
沙羅の返答に煉獄は満足そうに笑みを浮かべる。
「いい目だ。その強い眼差し、俺も君が継子に欲しい!」
煉獄はそう言って此方の返事も聞かず、すぐさま次の車両へ向けて駆け去った。
残された沙羅は一瞬ぽかんとしたが、すぐさま煉獄の指示に従うべく車両の窓から汽車の屋根へと飛び移った。