第一話 誓約
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時刻は午前三時。まだ真夜中であるが、沙羅は早々に起き出して山奥の森にいた。
ーー 宵の呼吸 肆ノ型 弾幕 禍星燎原斬 ーー
夜の闇に剣閃が鋭く閃き、そこから無数の弾幕が散った。
弾幕は大岩に命中し、無数の穴を開けて罅が全体に広がっていき、最終的に砕け散った。
「ダメだ……まだ、全然ダメ」
攻撃力が低すぎる。沙羅はその場にへたり込んだ。
沙羅の目標はこの攻撃で黒死牟の無数の斬撃の全てを撃ち落とす事だ。
これでは目標には程遠い。
無一郎は現在十三歳だ。運命の年まで二ヶ月とあと少し。
急がなければならない。
黒死牟戦の前までにこの弾幕技を完成に導かなければーー全てが詰む。
「絶対に諦めない……っ」
ぐらり、と目眩がした。
どうやら刀を強く握り締め過ぎていたようだ。
「そうか……!赫刀……!」
伊黒小芭内が言っていた。刀を万力の握力で握り込む事で赫刀を発現させる事が出来ると。
拳銃の威力は既に限界まで上げて貰っている。
何しろ最初に使った際は反動で後ろに吹っ飛ばされたほどだ。
拳銃の威力は申し分ないのだ。
後はこれにどれだけバフを掛けられるかに掛かっている。
もっと斬撃の精度をあげるんだ。もっと速く。もっと荒々しく。もっと力強く。もっと、もっとーー
赫刀で斬れば、弾幕の攻撃力は格段に上がる筈だ。
「うぅ……ダメだこれ酸欠起こす方が早い……師範凄いな……」
刀を握り締める事数十分。酸欠によりクラクラしてきたため早々に断念した。
戦闘に於いてこれは非常にまずい。
こうなったらいっそ不死川実弥with冨岡義勇作戦でいこうか。
師範に頼んで……いやダメだ。腕力に天と地ほど差がありすぎる。
そもそも他力本願がよろしくない。
要するに、熱……鉄が熱くなればーー
そこまで考えて、ハッと息を呑む。
「出来るーー私だから、この技だからこそ、出来るんだわ!」
言うやいなや素早く立ち上がると沙羅は拳銃を発砲。
そして、すかさず剣撃を加えた。
力強くーー!
荒々しくーー!
熱を持った鉄に刀身をぶつける。その分刀に負荷を掛ける事になるから、沙羅は適正な力で、正確に刀を振るっていた。
だが、ここで、更に一歩を踏み込んでみたのだ。
刀が歪んだり折れたりしないギリギリのラインを狙って。
弾丸と刀身の間で激しく火花が爆ぜる。
そしてーー。
赫刀により撃ち出された弾幕が、先程よりも大きな岩を一瞬にして砕いたのだった。