第一話 誓約
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
稽古が始まった瞬間、沙羅が加速した。
床を蹴って、一直線に無一郎へ向かって強く踏み込む。
同時に沙羅は竹刀を刀に見立てて柄の部分に右手をかけ、鞘の部分を握り左手を腰に引き付ける。
次の瞬間、無一郎へ向かって居合いの一閃が振り出された。
無一郎はそれを涼しい顔で難なく受け止め、
「力強い良い攻撃だね」
軽くいなしてそんな事を言う。
だがそれも想定の範囲内。すかさず沙羅は次の攻撃を繰り出す。
いなされる。攻撃する。いなされる。攻撃する。
そんな事を繰り返して暫く、不意に無一郎が仕掛けてきた。
脇腹を目掛けての鋭い一閃。
「…………何故止めるんです?」
「君こそ何で避けないの?」
攻撃は紙一重でピタリと止まり、竹刀が沙羅の脇腹を捕らえた形で静止していた。
沙羅は竹刀を弾き飛ばすと、すかさず次の攻撃態勢へ入る。
「我々の最終目標は鬼舞辻無惨。無惨を相手に無傷で戦えるとは思えません」
竹刀の激しくぶつかり合う音が道場へ響く。
「そうなった際に痛みで動きが鈍る事のないように……今から耐性をつけておきたいんです」
「へぇ……」
「理想は骨折しようが内臓が破裂しようが、無視して戦えるぐらいにはなりたいです」
「いや死ぬよ?」
暫く打ち合いが続いたが、流れを変えるべくここで沙羅は強めの一撃を叩き込む。
「僕から君に言える事は」
無一郎はやはりというか流石というか、それを軽くいなして、
「百年早いよ」
今度は止める事なく、したやたかに沙羅の右肩を打った。
沙羅の顔が、一瞬だけ苦痛に歪んだ。
「まずは目の前の敵を見なよ。それすら出来てないのに、鬼舞辻なんて倒せるはずない。君は遠くを見据えすぎ。そういう姿勢は、目の前の敵に簡単に足元を掬われる事になる。命取りになるよ」
「…………!」
「少し考えれば分かるよね?子供じゃないんだから」
「………分かりました。善処します」
「善処じゃなくて今すぐ改善して」
「それは出来かねます」