FILE:1 出逢い
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「昨日は随分と、派手なカーチェイスを繰り広げたようだな」
此処はとある病院の診察室。そこの医師である柊幸一は、ぞくりとするほど険を含んだ低い声音で呟いて。
、、、、、
女子高生を睨んだ。
「いいじゃない。ちゃんと都内からは外れた所でやったし。善良な一般市民に怪我はさせてないし。カーチェイスなんて大袈裟だよ」
睨まれた女子高生はそんなものどこ吹く風と言った様子で、特に怯んだ風もなくにこやかに返す。
何を隠そう昨夜都内の外れで派手なカーチェイスを繰り広げていた女性と、この女子高生は、同一人物である。
少女の名は小鳥遊 紫生〈タカナシ シオ〉という。
しかしこれは偽名である。
彼女の本業はあくまでもスイーパー。
よって本業の際にのみ“本名”を名乗る。
女子高生は世を忍ぶ仮の姿という訳だ。
年齢的に考えれば女子高生時の方が、本来の姿に近いと言える。
だがしかし。まさか女子高生姿のままスイーパーをする訳には、当然いかない。
そんな訳で彼女は、客の信用を得るためにもスイーパーの仕事をする際は、化粧と服装で二十歳ぐらいに偽装をしているのだ。
、、、、
「お前……あいつ等の依頼を断る際にわざと必要以上派手に立ち回っただろ」
「うん。麻薬密売組織同士のいざこざに興味なんてないもん。だからって放っておく訳にもいかないし。ああいう連中は、早めに潰して置かなくちゃ、……ね」
「暗殺の依頼は断り、尚かつ言葉で煽って連中の敵意を掻き立てる。案の定、短絡的な下っ端がお前に手を出そうとした」
「そこで私の実力の片鱗を見せつけておけば」
「秘密を知ったお前の暗殺には充分な戦力が裂かれる」
「そういう事ォー♪」
「見事に連中にとっての重要戦力を削ぎ取る事に成功したって訳か」
「そ。これなら後は
「………ったく、お前だけは敵に回したくねぇ」
溜息混じりに頭を抱える柊を尻目に、今回も無傷の澪羽ーー紫生は、笑顔でひらひらと手を振りつつ診察室を後にしようとした。
「澪羽」
思いがけず呼び止められて、紫生は「うん?」と振り返る。
因みに“澪羽”が紫生の本名である。
、、、、、、、
「あの人の代わりになろうとするな」