FILE:1 出逢い
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………何が起きたのか理解出来なかった。
辺りに立ち込める硝煙の臭いが鼻をつき、所々に残る炎のねっとりとした熱が頬を這う。
そんな現実を他人事のようにただぼんやりと受け止めていた。
そんな事より。
………そんな事よりも。
目の前の光景に澪羽は愕然としていた。
火傷と衝撃でぐしゃぐしゃに傷付いた身体。
ぐったりと力無く自分に覆いかぶさるボロボロのこの男はーーー
澪羽の父親だった。
「ぐっ、……ぅ……」
明らかに苦痛を押し殺した呻き声に、心臓が抉られたかのような錯覚を覚えた。
胸が痛かった。息が苦しかった。
「パパ……!しっかりして、死んじゃだめ……っ」
「……っ、澪羽」
「!」
「………いいか、よく聞け」
「………はい」
「俺の仇は………」
「………!」
「絶対に、……追うな……」
それが彼の最期の言葉だった。
夜の都内を少し外れた道路を、真っ赤なアルファロメオ4Cが法定速度を無視したスピードで爆走していた。
それを追う形で二台の黒のヴェルファイアもまた爆走している。
そして更にあり得ない事に、車窓から身を乗り出した男達が前方を走るアルファロメオ目掛けて銃だのバズーカだのを容赦なくぶっ放す。
これに対しアルファロメオは一度もブレーキを掛ける事なく、銃弾や砲撃の嵐を鮮やかに掻い潜る。
だが、流石に動揺していたのだろう。アルファロメオの車輪の片側が縁石に乗り上げた。
しかしアルファロメオは減速するどころか逆に更に加速して、ついには片側の車体が浮いてしまった。
男達がほくそ笑む。だが、
「!?」
次の瞬間男達は目を疑った。
車体の片側を浮かせたまま走行するアルファロメオが突然、そのまま細い路地裏に突っ込んでいったのだから。
「しまっ……!」
咄嗟の事に対応出来ず、ヴェルファイアは路地の両壁へぶつかり車体をへしゃげさせ、大破した。
続け様にもう一台が突っ込んで、爆発、炎上。
「ちっ……。縁石に乗り上げたのも車体を浮かせたのも計算って訳か。大した女だぜ」
路地裏の先に待ち伏せしていた黒のセダンが、出口を塞いだ。
「おい、止まれ!止まっーー」
不意に銃声が響いた。次の瞬間、男の眉間から血が吹き出した。
続け様に再度銃声がして、男の背後で車が爆発、炎上した。
キッ、と軽いブレーキ音の後アルファロメオが停車。
運転席から一人の女性が降りてくる。
その片手には拳銃が握られていた。
「
流暢なブリティッシュイングリッシュ。
淡い紫掛かったブルーの瞳が、冷めた光を帯びて“かつて標的だったモノ”を見下ろしていた。