FILE:3 反撃の微笑み
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倉庫を出ると、綺麗な朝焼けの空が水平線の上に広がっていた。
ピンク掛かった紫色と青紫、淡い青色のグラデーションが綺麗な空に、陽光を含んだ薄雲が淡く輝き、同じく陽光を受けて海の水面もまた銀色に煌めきながら揺れている。
早朝の冷えた空気が爽やかに感じて、澪羽はここで漸くほっと安堵の息を吐き出した。
「今回は依頼じゃなくて………決闘の申し込みだったんだ」
視線を空に向けたまま澪羽はぽつりと零すように話し始めた。
同じように空に見惚れていたしのぶの視線が此方を向いたが、澪羽はしのぶの方を向かないまま話を続けた。
「相手はパパの昔のライバル(自称)………一応銃の腕には自信あるけど、勝率は五分五分かなって」
「………………」
「やっぱり、パパの古い知り合いともなれば、すっごく強いだろうし、………あいつも言ってたように経験値も違うだろうから」
「…………五分五分ではなく、死を覚悟していたのでは?」
「!」
しのぶらしからぬ冷ややかな声音と、鋭い指摘に思わずそちらに視線を向けた。
しのぶの横顔にいつもの微笑はなかった。
暫くその横顔を見つめ、澪羽は視線を前へ戻すと、その長い睫毛を伏せてふっと苦笑した。
「………違うよ。勝負自体は本当に五分五分だと思ってた」
「では、どうしてあんな事を?」
「それはあたしがーー」
「紫生さんが………なんですか?」
「ほら、あたしって国籍も年齢も産まれた日すら何もかもあやふやで。こんな得体の知れない奴の傍にいつまでもいるの、しのぶさんもイヤかなって」
「そんな事を………」
「それだけじゃなくて」
「………まだ、何か?」
「貴女の戦いは終わったとか言いながら、いつまでもこんな危険な仕事してるあたしの傍に置いておくのも違うじゃない?」
「ーーー!」
「だからいい加減、貴女を表の世界に返してあげなきゃって思って。今回がいい機会かと……」
言葉は最後まで続かなかった。
突然、しのぶにがしっ!と両肩を摑まれたからだ。
「え?……な、何??」
動揺する澪羽。
対してしのぶはにーっこり。ただしその笑顔は何処か威圧的で、ついでに言うと青筋が浮かんでいるのがはっきりと見て取れた。
「紫生さん。私、とーーっても怒ってます」