FILE:2 彼女のお仕事
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しのぶがキッチンへ入ると、先に到着していた紫生がハンカチで目元を押さえていた。
白い頬を幾つかの雫が伝っている。
「まぁ。どうしましたか?」
しのぶが傍に寄ると、紫生は閉じていた瞳をゆっくりと開いた。
「何でもないの。ただコンタクト外して目薬さしただけ」
薄い瞼が開かれて、露わになった瞳を見てしのぶは息を呑んだ。
瞳の色が変わっている……?どうしてーー
黒かった瞳が今は淡く透き通る紫色のような、ブルーのような、どちらとも判然としない不思議な色合いを呈している。
その瞳の美しさにしのぶは一瞬目を奪われた。
だが………。
「これが本来のあたしの瞳の色なんだ。普段はこのカラーコンタクトっていうのを瞳に直接貼り付けて色を変えてるの」
顔色からしのぶの疑問を汲み取って紫生が答えをくれる。
「………今の時代はそんな物があるのですね」
「うん」
感慨深げに呟くしのぶに紫生はにっこり笑い掛ける。
「さ、お茶にしよ♪」
「単刀直入に言うね。あたしは貴女の生立ちやどうして亡くなったのか。お姉さんの事も、上司や仲間の事も、知ってるわ」
しのぶの顔色がさっと変わった。
「それは………何故ですか?」
平生の優美な微笑とは違う、陰影の濃い何処か物騒ともいえる威圧的な笑みを浮かべるしのぶ。
その声音には、はっきりと分かる棘が含まれていた。
これに対し紫生は、少しも動じる事なく返す。
「貴女達鬼殺隊に関する資料が今でも残ってるからだよ」
「!……そう……なんですね」
「だから貴女の事に関してあたしが色々知ってたとしても、あまり驚かないでほしいんだ?」
「………………。分かりました」
「それでね」
「はい」
「あたしだけ貴女のコト知ってるのはフェアじゃないから、あたしのコトも話しておこうと思うんだ?」
「………!」
「貴女さえ良ければ、だけど」
「………えぇ。訊おておきます」
「じゃあ、話すね?」
そうして紫生は練切を一口食べると玉露を一口呑んで。
自らの過去について話し始めた。