FILE:2 彼女のお仕事
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戻って来た紫生が、しのぶにと渡してきた数々の品に、流石のしのぶも度肝を抜かれた。
「これが普段着用の着物ね。こっちがお出かけ用の色留袖と振袖。これは下着類、小物類、こっちは寝間着用の着物」
そう言って目の前で広げられる見事な着物の数々は、全て染めの着物と織りの袋帯であった。
高価な代物である事は間違いない。
寝間着用の着物もごわごわとした浴衣などではなく、しっとりと肌触りの良い着物だった。
それに、着物だけでない。
幾つもの華やかな半襟や伊達衿、帯揚げや帯締め、扇子や髪飾りや草履など。
きちんと着物に合わせたデザインの物が揃っている。
そして必要な下着や小物類。
襦袢や足袋、伊達締め、帯板や帯枕、胸紐などの紐類も。
必要な物が何一つ欠ける事なく揃っていた。
「こんなに沢山………随分お金が掛かったのでは?」
「いーの、いーの。あたしを引き取ってくれた人お金持ちだし、あたし自身も稼いでるし」
「え……?」
引き取ってくれた人……?稼いでる?
「それは、どういう事なのでしょう?」
「取り敢えずお茶呑みながら話さない?大事な話があるんだ?」
そう言って彼女は此方の返事を待たず、早々に踵を返してパタパタとスリッパを鳴らしてキッチンへと歩いていく。
その後ろ姿をしのぶは暫くぼうっと眺めながら、やがてふっと苦笑を漏らした。
………あの少女といると、どうしても少しばかり気が緩んでしまう。
服装が遠い日の友人を思わせるからだろうか。
無邪気に笑う、可愛い人。
あそこまで肌を露出している訳ではないが、少し緩めの襟元と、短いスカートに長い靴下が友人の姿を彷彿とさせる。
しかしーーー
友人は華奢ではあったが、肌の血色は良く、あくまでも健康的だった。
だが、この少女は………。
肌は蒼白く透き通り、あの細さは何処か“病的”にしのぶの瞳には映った。
紫生さん、貴女は一体………。