第二章-前編-



だよ、と。小さく紡いではみたものの。

なんだこの空気。


「ぷっ」


沈黙を破ったのはフォックスだった。

「なんだそれ」

くすくすと笑う声が次第に輪を広げて。

「本当」

灰色がかった世界が色付く。

「ラディスそっくり」


……父さん?


「行こうぜフォックス」

ぽんと肩に手を置くファルコにフォックスは「ああ」と振り返る。

「い、いってらっしゃい!」

その背にルーティが叫ぶと二人はもう一度振り返って。

「おうっ!」
「また後でな」

青く光灯すパネルへと足を進めた。
 
 
38/53ページ
スキ