第二章-前編-
こそこそと話す声と靴音だけが響いている。何だか空気が重いなぁ。
……と。横切ったのはフォックスとファルコだった。互いに言葉も交わさず真っ直ぐ機械の方へ足を進める彼らの表情を視界に捉えて察する。……そっか。
フォーエス部隊の人たちが緊張してるから。
その空気に呑まれちゃってるんだ。
ムードメーカーのカービィやロイでさえ口を噤んでいる辺り、おちゃらけて和ませるなんてことも叶わなそうだし寧ろ悪化しそうだ。一回戦の試合を勝ち抜けたのはいいけどそれだけに、勝った人間にこれから戦う側の気持ちが分かるのかと口にまで出さずとも変に逆恨みされそうだし。……だからといって。
この空気は。僕にはちょっと苦しいかな。
「足を引っ張らんことじゃな」
「そのくらい分かっとるよ」
獣人の犬シラヌイと鴨モウカが口々に交わす。
「お前は不意打ちが得意なんだろ。パックマンは後衛に回るから」
「承知したで御座る」
「――フォックス! ファルコ!」
びりびりと。
呼ばれた本人だけでなく。
戦う前から不意を突いてきた大声はほぼ全員の視線を浴びて。
「……お」
両の拳をぐっと握ってルーティは声を上げる。
「男なら! 拳で語り合え!」