第二章-前編-
大きく翼を羽ばたかせて上昇し、腕を伸ばして崖端に掴まる。体を揺らして勢い付けて飛び上がると早速ルーティが出迎えた。飛び込んできた拳をひらりと躱して復帰を優先したが着地後の硬直を見逃さずウルフの蹴りが炸裂する。
「ッが」
くそっ二体一かよ!……嘆いても仕方ない。残されたのは自分だけ。
いつの間にか妹たちもやられてしまったようだがこの二人、さすがのチーム撃墜数一位を誇るだけのことはある。互いが互いの隙を縫うようにルーティは小柄な体型を生かして身軽な身のこなしで的確にダメージを与え、ウルフはそれより動きが幾らか鈍くてもそれを上回る体術と読み合いでワイルドに蹴散らす。
こいつら二人を相手に、自分が少しは耐えれる重量級だと言ったところで。
「かっ」
場外に飛び出したルーティが蹴り上げて追い討ち。その後ろから。
目の前に飛び込んできたウルフの爪が襲う――
「おにぃ!」
乱闘を終えて駆け寄ってきたのは案の定ピチカだった。
「すっごい楽しかった! やっぱり強いねっ!」
「いやぁ……」
ルーティは照れたように笑う。
「後半にかけてのラッシュが凄かったな」
「うぐぅぅトーナメントが終わったらもっかい勝負だ!」
和やかな雰囲気で会話を楽しむ最中。
こつ、と靴音。
「素晴らしい戦いだったよ」
ルーティは目を丸くする。
「ロックマン……」