第二章-前編-



得意の蹴り技。軌道を変えて容赦なく相手の隙に打ち込む。

「ピチカ!」 

防御間に合わずくぐもった声を洩らして。比較的軽い彼女の体は蓄積したダメージもあって呆気なく場外へ。その隙を縫うように。攻撃を仕掛けた張本人であるルーティの元へその動作が終わるか終わらないかの内死角からリムが奇襲を仕掛けた。

けれど甘かった。

「……!」

その隙を埋めるのは。


「ぁ」


振りかざされた両の腕が容赦なく彼女の体を叩き落とす。

空中から、真っ逆さまに。


「……今のは」

マークはモニターを見上げて呆然としていた。

「“メテオ”じゃないかしら」
「そういえばさっきのルーティの雷も発生した暗雲に同じ判定が……」

分析されている。

「お堅いなぁ」

ロイはぶつぶつと呟く双子の背を見つめながら苦笑い。

「ゲームくらいもっと気楽に楽しめばいいのに」
「そうもいかないだろう」

メタナイトは腕を組んで冷静に返す。

「……次に戦うのは自分たちかもしれない。同時に今日の仲間が明日もそうであるとは限らない」
「大袈裟な話でもないよ。戦いから学ぶことは幾らでもある」

マルスが続けるとさすがのロイも不服そうに口を噤んだ。

「……今はまだ、緊張しているだけさ」
 
 
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