エピローグ
ルーティ。
「?」
呼ばれたような気がして振り向く。その直後にばたばたと追いかけっこを楽しむディディーとトゥーンが駆けていったが気付かなかった。進行方向に向き直る頃には彼らもまた気付かずに走り去った後で。廊下を駆けるその足音だけは確かに耳にしながら元気だなぁ、と。
何となく。これだけ誰とも鉢合わせしないともなるとまるで穏やかな時間の中に自分一人取り残されてしまったような。
何でもない日常の中に紛れ込んだ神様は。
こんな感じなのかもしれない。
温かくて。寂しくて。
心地いいはずなのに心苦しいような。
曖昧な感覚──
「うわ!」
虚を破るように異変は唐突に。
「あたたた」
曲がり角を曲がろうとして訪れる。
「ご、ごめんなさい!」
それは。運命の出会いのような。
「元気だなぁ」
……再会のような。
「ピチカ」
小さく目を開いて見つめる彼女に首を傾げる。
「……大丈夫?」