最終章-前編-
振りかざしてきた正義がいつでも本物だって。間違ってなんかいないんだって。
互いを励むように言い聞かせながら積み重ねてきたんだ。いずれ訪れることになる未来を覆すことが出来たならそれが正義の為に葬ってきたか弱い命たちの報いになる。
そう。信じて積み重ねてきた日々だったんだ。
変わらないのなら。変えられないのなら。
何のために戦ってきたんだろう。
「……くそ、」
乱れた呼吸を整える間もない。
「まだ……終わらねえのか……!」
「っはあ……はあ……」
急くファルコを横目にフォックスは呼吸を繋ぎながら振り返ったが依然としてウルフに変化は見られず。加えて長く目に留める間もなく容赦なく放たれた衝撃波が二人含む戦士たちを無慈悲に弾き飛ばして叩き伏せる。
「うぐっ!」
何度立ち向かっても。何度立ち向かっても。
「、お、にぃ……」
この声が届いたならどんなによかっただろう。仲間たちの声や想いに応えるようにして悪なる全てを払い除けて慣れ親しんだあの笑顔を──向けてくれたならそれだけで。
初めから諦めていればよかったのかな。
「く……っう……」
諦めたくなんかないのに。
「ルーティ……っ」