最終章-前編-
抵抗の音が遠く虚しく。
「あぐっ!」
地面を引きずって倒れ込んだ戦士は痛みに眉を寄せながらも体を起こして飛び出した。攻撃の一部がすぐ横を過ぎ去っても尚臆することなく視線は戦場より地面を終始見つめ続けて。
無駄に決まってる。
何も。変わるはずがない。
誰が死んでも生き延びられても最後に辿り着く未来は定められている。足掻けど憎めど苦しめど変わらない未来のために何をする必要があるのか今の今更解るはずも解りたいはずも。
「、く……っ!」
ふと顔を上げると赤髪の剣士が既の所で攻撃を受け止めていたようだった。華奢な見た目だが今は神力を使役しているとだけあってその力も強大であるらしくやっとの思いで弾き返せば標的を変更して移動する彼を剣士は追いかけて。
「危ない!」
二度も攻撃が飛んでくるものとは。
飛んできた光の剣を弾いたのは黒髪の少年──ゲムヲだった。どうやって防いだのか分からないが宙を舞って程なく離れた地面に落とされたスケッチブックこそがその正体なのだろう。
「正義部隊」
視線を上げて捉える。
「命が惜しくて戦えないのなら」
紡ぐ。
「正義なんて飾りだ」