最終章-前編-



見つけた。……確かにそう口を動かしたのだ。

次の瞬間ルーティは魔方陣を引き連れながら急降下。阻止するべく立ちはだかる全てのものを鎖で払いのけながら向かう先には。

「ウルフ!」

まだ準備の整っていない謂わば不完全な状態のところに攻撃を叩き込まれたらこれまでの立ち回りが全て水の泡となってしまうかもしれない──フォックスは注意を引くべく銃を構えると連続して発砲した。けれど今度ばかりは標的を変更するつもりはないらしく一向に目もくれず双方の距離は縮んでいくばかりで。

「言ってだめなら!」
「なんとやら!」

と。──突然地面が揺れたかと思うとルーティの行く手を阻むように巨大な氷山が地面を突き破って現れた。この不可思議な技を使ったのはポポとナナの二人である。ルーティが進路を変更すべく速度を緩めると頭上に影が差して。

「ふんっ!」

振り下ろされたハンマーによる一撃はまたも防壁によって阻まれた。だがしかしデデデはにやりと不適な笑みを浮かべると防壁を足場に後転しながら高く跳び上がって。

「こいつはどうだ!」

一見して単なる木槌と思えたハンマーの片面が開いたかと思えば搭載されたジェットが正体を現す。デデデは空中で回転を加えると先程より威力も勢いも増した一撃を振り下ろして。


……防壁が。

悲鳴を上げて崩壊する。


「逃がしません!」

刹那。ルーティの体を捕らえたのは、ゼルダが召喚した金色の光の鎖だった。両手を突き出し翳す彼女が魔力を込めると鎖はしつこいくらいにぐるぐると彼の体に巻き付いて自由を奪う。

「あうっ!」

だがしかし希望の欠片も与えられず。鎖は次の瞬間弾かれてばらばらに砕け散ると粒子となり空気中に失せた。怯むゼルダに容赦なく接近を仕掛けたルーティは鳩尾に肘打ちと目を開いている間に力強く蹴り飛ばす。

「ゼルダ!」

リンクは思わず声を上げたが憤怒に表情を塗り替えると剣を握り走り出して。

「──兄ちゃん!」
 
 
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