最終章-前編-



「はっ!」

一度剣を引いたが即座連続して打ち込む。そのどれも容易に弾かれるばかりだったが通らない攻撃を当てにしているはずもない。気配を察知して振り向きざま右腕を刃へと形状変化させて剣を受け止める。全体重を乗せた両手剣による重い一撃のはずがこれも容易に受け止められてアイクはくっと眉を寄せる。

「はぁああッ!」

だがしかし両手が塞がっているのは事実。この隙を見逃す手はなくその背後から剣を手に突撃してきたのはロイだった。──しかし発生した衝撃波がリンクとアイクの二人を弾き飛ばしたかと思うとルーティはロイの剣を躱して空へ。

逃してたまるかと地面を蹴り出し跳び上がったマルスが剣を振るったが掠めもしないどころか蹴り払われてしまう。息つく間もなく死角から飛び込んだのはメタナイト。愛弟子の仇討ちも込めて打ち込まれる剣による連撃は秒の隙すら与えられない。けれど全身全霊のその全て両の腕の刃によって防がれ呼吸のひとつも乱さず。

まさに。化け物と呼ぶに相応しく。

「うらぁっ!」

メタナイトが息を吐いた次の瞬間隙を埋めるかのように剣を叩き込んだのはカービィだった。ルーティは表情のひとつも変えないまま攻撃の全てを淡々と弾いていく。

「今!」

飛んできた矢はちょうどルーティの目前を通り過ぎた。連続して放たれるも以降はほんの僅かな動きのみで躱されてしまい静かに目を向けた先にはピットの姿。弓を構えた姿勢であちらが此方の存在に気付いたものと察知したが遅く目にも留まらぬ速さかそれともテレポートの類いか転々と空を移動すると目前に現れて──

「ネロ!」

考えもなしに配置していたはずもない。地上のレッドが腕を払うとピットの背後から勢いよく飛び上がったネロが太陽を背に踵落としを繰り出した。けれどそれもぼうっと見つめるだけであるはずのルーティを寸前で囲った薄い青の防壁により防がれて。ネロが顔を顰めたのも束の間浮かび上がった赤の魔方陣が怪しく光を灯せば危険を察知したレッドが素早く指示を出す。

「うわあっ!」

その読みは当たっていた。シフォンが放った蔓がネロとピットの足首に巻き付いて無理矢理に引きずり落とした直後魔方陣から幾つもの黒い鎖が飛び出したのだ。先端には鋭利な刃が繋がれあの場に留まっていたら串刺しになっていただろうと想像するだけでぞっとする──ネロとピットは地面を転がる形で不時着。
 
 
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