第十二章



浮かべた笑みが歪む。

「っふは」

堪らずこぼれる。

「あっはははははは……!」

その変貌ぶりにルーティは言葉を失っていた。ダークマルスもダークアイクに支えられながら傷口を押さえて顔を歪めている。彼らにとって器の損傷など源である影虫さえあれば幾らでも修復出来るのだろうがそれでも痛覚だけは他の人間と等しく誤魔化せるはずもない。

「ご周知いただけてなかったようだな」

ロックマンは嗤う。

「今現在の我々は創造神マスターハンドの力を使役している。特に損傷に対する修復は我々の意思とは関係なく自動的に発動される──創造神の御手に施された模造品なら当然だろう?」

……違う。

普段の彼ならこんな物言いをするはずがない。

「ルーティ!」

はっと気が付いた頃にはフォックスが反射板を展開させて攻撃を防いでいるところだった。

「割り切るんだ!」

攻撃を仕掛けたルフレも直後に死角からダークピットに斬りかかられ左腕を落とされたが直ぐさま創造の加護によりまた新たに生成されると喚び出した剣で振り向きざま斬り捨てて。

「彼らはもう!」


神の力に魅入られた末路。


「ぐあっ!」

接近を許したリュウによって蹴り飛ばされた。

「フォックス!」

声を上げて振り向いたが影が差す。

虚ろに見下すハルによって振りかざされた斧の光沢に反撃を躊躇うが奥歯を噛み締める。

……やるしかないんだ。

素早く腕を薙ぎ払えば遅れて発生した青い雷が尾を引く斬撃となって腹を裂いた。生じた隙を尻目に蹴り飛ばし次なる攻撃を躱すべく飛び退けば元いた場所に複数の紫の矢が突き刺さる。

分かってるよ。

でも。
 
 
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