第二章-前編-
……まさか。
「あんな子供がこないだ出来た正義部隊のリーダーなんて……」
カービィは思わず口に出して言った。カービィ、とメタナイトが小声で叱る。
「だって、どう見たって子供じゃん」
「ブーメランですよ、その発言は」
「難しい言葉使わないでくれる?」
「人の部隊のこと言えないでしょう」
それを言われると、うぐっと喉の奥で声を洩らし、カービィは黙り込んで。
悪しきを滅ぼし正義を称える。
レイアーゼ防衛機関管理下第四正義部隊『フォーエス部隊』。
先程の少年はその指揮を取る、リーダーのロックマンだったのだ。
薄い水色の白衣を着込み、カッターシャツに黄色のネクタイを締めている。髪は相変わらず向かって左側へ払うように、けれど所々、我が儘を言うように右へ跳ねているのはもしや、単に整えていないというだけなのでは。
演説をしていた割には雑というか。自分も、人のこと言えないか……
「今日はどうしたの?」
恥ずかしながら、自分はココアである。この年齢になってもあの苦味の良さはまだ分からない。もしかしたら、一生分からないのかもしれないな。
「ああ。……」
ロックマンはカップの取っ手に手を触れたまま口を閉ざしてしまった。