第十二章
ルーティはちらりと時計を見た。正午までまだ時間があるように見えてもこうして事態が急変したのでは話も変わる。どちらかを極端に選び取ったところで今度選ばなかった側に潰されてしまうのがオチといったところだろう。
「……分かれよう」
「ルーティ」
緩く拳を握り締める。
「多分、それが最善だと思う」
「賛同しよう」
ファルコンが深く頷いた。
「それにしても──全部この日の為だけに手を回していたのだとすると気持ちが悪いわね」
「これも彼らの正義の成せる業、でしょうか」
サムスとゼルダが口々に言うのを誰も皆黙っていた。掬い上げても指の隙間からこぼれ落ちる水のようにこの世界は恐ろしい速度で望ましくない未来を辿っていく。
本当に変えられるのだろうかと。
疑心ばかりがぐるりぐるりと渦を巻く。
「──大丈夫だよ!」
ピチカは励ますように。
「ぱぱっと鎮静化させて後から合流しちゃえばいいんだから!」
そのひと言が淀んだ空気を緩和させた。
「俺たちはまだ終わっていない」
「これから始まるところじゃねーか」
頷く。
「そうと決まれば作戦を立て直しましょう」
時間を巻き戻せたなら?
ふと思う。
そうすればきっと。
君が悪夢に冒されるよりも先に。