第十一章



──来る!

身構えたと同時にシュルクが身を屈めて地面を蹴り出し先陣を切る。二者間の距離が狭まる最中彼の頭上に『疾』の文字が浮かび上がったかと思うと青白い霧となって体を纏い──

二度、踏み出せば。

「──ッッ!」

目の前に。

自身にとっての適切な距離、即ち中距離。展開されたビームによる薙ぎ払いが容赦なく目前にまで迫り来る。寸刻遅れて首を反らせば直撃は躱した。しかし視界の端に映り込んだ次の影を認識するよりも先に。

「ッうあ……!」

バチバチと電気を纏って振るわれたそれはジグザグと屈曲した剣身が特徴的な剣。直撃は避けられなかったが寸前で攻撃を受けざるを得ないであろう箇所に電気網を張って弾いたのが幸いして吹き飛ばされるのみの結果となる。

地面を数メートル程摩って体を起こせば頭上に影が差した。確認する間もなく地面を転がる形でシュルクの攻撃を回避する。

直ぐさま体を起こして背後からのマークの剣を身を屈めて躱しつつ、蹴り払い。振り向きざま薙ぎ払われたシュルクの剣を今度は自身の手を重ねて翳し電気網を作り上げて受け止める。

「──君が戦ってきた理由」

ギリギリと互いに押し合いながら。

「それだって"この世界の為"なのに」

シュルクは口を開く。

「どうして、譲らないんだ!」
「君たちにとってはそれが最善でも」

顔を顰めながら。

「僕は、まだ」

──叫ぶ。

「死ぬわけにはいかない!」
 
 
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