第十章
……昨日?
「おい、アイク」
こんな時に問い詰めるのはよせとばかりに口を開いたロイだったが一方でルーティはぼうっと立ち尽くしてしまっていた。
なんで。……このタイミングで?
「何も今話さなくても」
「俺はマルスと話をしているんだ」
アイクは腕を組んだ姿勢で見据える。
「どうなんだ」
念を押すように。
「マルス」
後ろめたいことなどなければすんなりと話せるはずだ。結局のところ聖剣が突き刺さっていたなどという話も精巧に作られただけの偽物で、今回の事件と彼とは何の関係もなくて。
疑う余地なんてないはずなのに。
「っ……」
──どうして、そんな顔を。
「言えないのか」
息を吐くアイクにマルスは顔を歪ませる。
「僕を……疑っているのかい」
「それとこれとは関係ないだろう」
刺さる言霊に拳が握られた。
「……もう、いい」