第一章
「……さて」
マスターは組んでいた足を下ろすと玉座を離れた。
「どこにいくの?」
「今回結成された正義部隊。隊員が面白いメンツだったんでな」
「なんだ、調べてたんじゃん」
「当たり前だ。死角から攻撃を受けてはたまらない」
主が近付くと扉はそれだけで軋み開いた。
その隣をクレイジーが歩き、後ろをタブーがゆっくりとついて行く。
――基地の中は外見に反して真っ白であり塵ひとつ見当たらない。誰が掃除をしてるのでもなく、破壊の神力を持つクレイジーがふと思うだけで取り払われるのだとか。部屋は新たに造ろうと思えばマスターの創造の神力が働く。
二人の能力が如何に万能か。この基地ひとつで説明がつくというわけだ。
「……いつの間に」
次に扉を開いて明かりがついた時、クレイジーは驚いた。
「あれは、なに?」
タブーが怪訝そうに見上げる。
「ああ……」
水色の液体に満たされた円筒の中でこぽこぽと泡が浮いた。
「……お前の弟だよ」