第五章
そういえば。彼らフォーエス部隊の寮は司令塔の四階にあるんだったか……
階段は受付を通して許可を得た一般の立ち入りが認められている三階までのものしかないので四階以降はエレベーターでなければ登れない。
……不便じゃなかろうか。地震や火災が起こった時当然エレベーターは使えないだろうしどう脱出するつもりだろう。
非常口の可能性も考えたがそれがあれば今回エレベーターが使えず寮内に閉じ込められるといった事態も避けられていたはずだし謎は深まるばかり……
「そちらは?」
急に質問を返されるものだから慌てた。
「あ、えっと」
ルーティは気を取り直して。
「電波の状況は悪いけど念のため連絡を回してる。被害は最小限に抑えたいし、それに彼ら亜空軍とまともに戦えるのは僕たちしかいないと思うから」
十五年前。そして一年前。
いずれも最終局面に立ち合ったのは特殊防衛部隊のDX部隊とX部隊だけ。
一般の軍人ではどう足掻いても敵わないと言ってるんじゃない。けれどもし勝機があるとすれば幾らかパターンを見切っている自分たちだけ。何も知らぬ一般の軍人ががむしゃらに突撃して結果、壊滅するよりは遥かに良策だろう。