第四章
「……つまり」
沈黙を破ったのは。
「フォーエス部隊はこれから何が起こるのかルキナから聞かされているんだね」
クレシスは黙っている。
「彼らのこれまでの言動は絶望の未来を回避するにあたって欠かせない事項そのものだった」
念を押すように。
「……そういうことだね?」
そうだな、と。いやにあっさり返されたような気がしたのは、多分。
「分かった」
マルスはゆっくりと立ち上がる。
「皆。……帰ろう」
こうして。
フォーエス部隊の真意を探るべく密かに行われた潜入調査はたった一人かつての戦友を除いて正体を明かされることなく静かに幕を閉じた。
「なぁんで引き上げちゃったわけ?」
四人は再びあの司令塔近辺の植え込みに集まっていた。忍ばせておいた普段着に着替えるためである。
「マルス」
「今回の件」
当の本人は暗い面持ちで。
「……どう思う」
外はもうすっかり日が暮れていた。
橙色の空が何処までも。カラスの親子が黒い翼を羽ばたかせ彼方へ飛んでいく。
「僕は信じる」
「……俺も」
マリオは視線を背けつつ。
「並行世界から飛ばされてきた奴がいるって言ってたよな」
忘れられるはずがない。
だって。あれは。
「リンク」
それ以降口を噤んでしまったマリオに事情を察してカービィは口を開く。
「あんたパックマンの部屋を調べてた時なんか考えてたよね……」
草木がざわつく。
「あれ、何だったの?」