第四章
口に出して頼むでもなくリンクがティーポットを手に取ってクレシスのカップに紅茶を継ぎ足した。
「そうもいかないんでしょう」
……長い沈黙が訪れた。
静かに時を刻む針の音が煩わしく。紅茶とクッキーの甘い匂いの充満した空気の中、ただ黙って息をするだけでは酔ってしまいそうで。
「……ルキナが話すには」
クレシスはゆっくりと口を開く。
「そう遠くない未来、フォーエス部隊は壊滅状態になる。半数以上が無惨に……ロックマンでさえ殺されていたそうだ」
……あの、ロックマンが。
想像もつかない。実際目にしたわけではないのだから当然だ。それでもあのロックマンがクレシスの言う遠くない未来、無惨に殺されてしまうなんてことは。
「……そのルキナって子は」
今度マルスが口を開いた。
「フォーエス部隊が壊滅の危機に瀕する絶望の未来を回避する為だけに未来からタイムスリップしてきたのかい?」
それだけのために?
「……そうだな」
クレシスが答えてそれからまた長い沈黙が訪れた。カービィがいるというのに茶菓子の減りが遅いというのは言わずもがな当人もそれだけ気が滅入ってしまっていたからという話で。