第四章
……タイムスリップ?
頭では理解できていても反応は皆同じでぽかんとしていた。通常の時間の流れから逸脱し未来や過去の世界に飛ぶことを意味するそれがどう関係するのだろう。
「……知っていますが」
そうか、とクレシスは目を細めた。
「僕たちはフォーエス部隊について話を聞いているんだ」
マルスが身を乗り出して訊ねる。
「それとこれと何か関係があるのかい」
「ないことを話しはしないさ」
「クレシス」
「タイムスリップ」
遮るように。
「未来から来た連中がいる」
「まさか」
クレシスは視線を上げた。
「……本当に?」
「ああ」
未来から――?
「後、過去と並行世界」
「急に増えたな」
肩の力がガクっと抜けた。
「時間遡行に巻き込まれたんだと」
「被害者ってわけ」
カービィは息をつく。
「それでその加害者サマは? 未来から来て一体何をしようっていうの」
こいつはここにきて嘘をつくような人間じゃない。
だから真面目に聞くことにした。それがどんなに人畜無害で此方と無関係だったとしてもせめて話くらいは。
「絶望の未来」
そう思っていたのに。
「え?」
次に彼の口から発せられたのは。
「ルキナは未来から来た。世界を滅ぼす絶望の未来から……今を救うために」