第四章
駆ける雷光。黒が舞う。
それはモナドを握り締めたその人の手に見事命中、暴走の起源を弾き飛ばした。
「ぎゃん!」
情けない声を上げて床に顔面から突っ込むその人を差し置いて解放されたモナドが空中を縦回転しながら横切り、果てに壁に突き刺さるのを見送る。
「大丈夫ですか!」
ばたばたと忙しない足音に振り向くとちょうどシュルクがぞろぞろと人を連れて駆けてくるところだった。
「うえぇ……酷い目に遭った……」
「じゃないでしょう。全く貴方は」
「クレシス管理下」
えっ。
「ロックマン」
こそばゆい呼び方に顔を顰めるその人を恐る恐る見つめる。
「何の騒ぎだ」
「申し訳ありません」
「今」
息を呑んで口を開く。
「クレシス……管理下って……」
冷たい黒髪に金色のメッシュ。つんと目尻の吊り上がった何ものも寄せ付けない鋭い目つきは相変わらず。
「……俺のことだが?」
間違いない。
「クレシスぅううう!?」