第三章
半開いた口を閉ざして。
「……うん」
きっとそうして呑み込んだ言葉も素直に受け取ってはくれないだろうから。
この人は。そういう人だから。
「おい」
各隊員らの話し声や足音が静まった頃。
自分たちも下る階段へと足を進めようとした時ファルコが口を開いて止めた。
ロックマンを初めに他の四人も立ち止まったが――また何を言い出すのか分かったものじゃない。そのくらいは彼の声の色というものを窺っていれば凡そ想像がつく。けれどフォックスが宥めるよりも先ファルコは次の口を開いた。
「あの時」
深く見据えて。
「ルーティが男と女を庇っていたら……どうするつもりだった?」
ぎくりと。
心臓の音が跳ねるのを確かに感じてルーティは思わず目を見張った。
次第に鼓動が加速していくのを頭の奥で捉えながら、最中。ロックマンは。
「おかしなことを」
ふは、と小さく吹き出して。
「どうもしない。するはずがない」
だって――ロックマンは仰ぐような姿勢から視線を落としつつ。
「俺たちは同じ正義を共にする」
ゆっくりと紡ぐ。
「立派な仲間じゃないか」
拭い去れない。
心臓の音が、まだ。
こうして第一級任務に移行した『デモ団体鎮静化作戦』は戦士たちの活躍により静かに幕を下ろした。
そして僕たちは思い知る。
自分たちも。
――そんな正義の一員なのだと。