第三章
……銃を。
心臓の鼓動を響かせながら。一瞬でもその真偽を確かめるべく振り向こうとした自分が疎ましかった。
「もし」
緩く拳を握って。
「それで本当にこの人が銃を持っていたとしても」
ルーティは鋭く睨みつける。
「殺していい理由になんかならない!」
あの時。
届いていたなら。
「残念ながらそれは不正解だよ」
想いを打ち砕くように発せられた少しの温度も感じさせない言葉に。
「ルーティ」
今度も。
「彼女たちは殺すべきだった」
小さく目を開く。
「いいかい」
ロックマンは淡々と。
「悪は一度芽吹いたら何度摘んでもまたわき芽を伸ばす。それが正義の色に返り咲くことは二度とない」
でも。
「正義だって同じことだ。彼女たちは我々の敵対する亜空軍の主将、マスターとクレイジーを信仰していただろう」
それは。
「一瞬でも悪に触れたのであればそれは手遅れだ。ああなってしまっては此方で絶ってしまう他救いようがない」
合間合間に言葉を挟む余地もなく。
「もしあの場で君が彼女の手を取って、それで解決したように見せかけても表に出た途端豹変しただろう」
打ち消される。
「その時、俺が彼女を撃っていたら」
ロックマンは冷めた目で見据えて。
「君は納得していたかい――?」