第三章
――発砲音が響き渡った。
もう少しで届くはずだったその人の手がふっと力を失って。遅れて噴き出した赤々としたそれがその人の血液であると気付くのにそう時間はかからなくて。
届かなくて。
……今。何が起こった――?
「間に合ったみたいだな」
呆然と立ち尽くす中響いて聞こえた声にゆっくりと振り向いて空気を一転させたその正体を知る。
「……ロックマン」
変形した左腕の青い光沢の鉄砲の口から僅かに硝煙が漏れている。
「なんで」
ルーティはぽつりとこぼした。
「下の階のことなら心配はいらない」
静かに腕を下ろすのと同時、鉄砲は淡く青白い光に包み込まれてそれが弾けると元の姿を取り戻して。
「殲滅したよ。彼女たちで最後」
「――そうじゃない!」
ルーティは思わず叫んだ。
「なんで、なんで殺したんだ! だってこの人たちはっ!」
「――その女性は銃を持っていたよ」
はっきりと告げられた言葉にルーティは小さく目を開く。反して。
「嘘だと思うなら」
静かに見据えながらその人は。
「確かめてごらん」
――淡々と。