第三章



たくさんの戦いの中で知った。

叫んでも。嘆いても。伝わらないものがあるんだって。


伝えられないものもあるんだって。


「それは……あなた達の先人のやり方を尊重しているから?」

ルーティは小さく頷いて。

「そうだよ」

素直に答えた。

「大切にしたいんだ」


……優しく。儚く。

張り詰めていた糸が弛んで。


「それで……本当に幸せになれるという根拠は何処にもない。それでも僕たちは少しずつ前へ進むしかないんだ」

静かに。

「……信じてください」


解けていく――


「戦士として戦うのも、頑張るのも当然なんです。……でも」

見据えて紡ぐ。

「それを選ぶのはあなた達だから」


透明で、不確かな。

そんなものを。


信じるのは怖いことだから。


「いつか?」
「……いつか」

ルーティは応える。

「絶対?」

微笑みかける。

「……絶対に」


それでも。


……伝えるよ。僕たちは。


何度でも手を伸ばす。

いつか。


今より確かなものを得るために――
 
 
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