第二章-後編-
……ちょっとムキになりすぎたかな。
「ありがと、ウルフ」
飛び退いたユウへの追撃は狙わず、入れ替わりウルフの側へ。
彼自身は何も応えなかったが、あの瞬間名前を叫ばれたからこそ自分は戻ってこれたようなものだ。ルーティは浅く息を弾ませながら倒れていたリオンがゆっくり不気味に揺らめきながら立ち上がるのを見つめて。
互いにダメージが溜まってきている。そろそろのこと撃墜を狙った大振りの攻撃が飛び交う頃だ。だけどあまり隙は晒せない。当然かもしれないが、違う。
――だって。
「たまらないな」
リオンは熱のこもった息を吐き出す。
「身体の内側からゾクゾクと這い上がる何とも言い知れないこの感覚。生と死のそのどちらもを追い求める本能の疼きと喉の渇き」
きゅ、と自身を抱き締めて。
「いけないことだと分かっていても身体が欲しておさまらない」
恍惚とした笑み。
「――溢れるほどに!」
リオンの種族ルカリオはダメージが蓄積すればするほど波導が高まる。
具体的に言ってしまえばその効果は攻撃力とリーチが跳ね上がる恐ろしいもの。
……だから。本当の戦いは――