第二章-後編-
リオンの放つ波動弾を潜り抜けて踏み込み、飛び出した先。
「くっ……」
すかさず前に出たユウが蹴り払った。その都度退いて隙を窺う繰り返しでは埒が明かないと見てルーティは腕を交差し攻撃を防ぐ。直後構えを解きユウの脇を抜ければ目標は目の前。脚を屈してバネのように。跳躍して後転しながら蹴り上げる。
ぐ、と呻き声が聞こえたが対して浅い。一方で反転して映り込むルーティの視界の中では距離を詰めたウルフがユウと接戦を繰り広げていた――ウルフの腕を豪快に振るった爪による斬撃や蹴り技をユウはふわりふわりと舞うように躱し、次の蹴りを受け流したところでとんと地面を蹴り出し浮遊。
気を取られている暇もない。ルーティが正面に直るとリオンはちょうど体勢を立て直して此方を見た。瞳の色は燃える夕日の色なのに反して冷たい眼差しにぎくりとしてしまう。迷いのない戦いの眼――恐らくそれだろう。
くっと踏み込んだリオンが跳び上がり、ルーティの正面に並んで体を捻り回し蹴りの体勢に入った。空中では身動きが取れない。つまりこの攻撃は。
「があッ!」
脇腹に綺麗に入り込み、地面に叩きつけられる。背中を酷く打ち付けて鈍い痛みが響き渡る中、影。虚ろな目を上げればちょうどリオンの踵落としが降り注いで。
「ぁ……ッか……」
視界が、ぶれる――
「ルーティ!」
はっと手放しかけていた意識を取り戻し起き上がる。まだ傍に降り立ったばかりのリオンの懐へ地面を蹴り出して飛び込み、拳を突き上げて顎を打つ。続け様リオンの胸に両手を翳してくっと眉を寄せ、青白い光を帯びた電気を躊躇なく放出。ダメージは浅いが引き続き怯みを取るには充分で、ルーティはリオンの顔の側面に回し蹴りを打ち込むと暇も与えず更に回転を加えて腹部を蹴り出した。
「……ッッ」