風鈴高校
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「君とオレは同じクラスみたいだ。1-1組の所に"蘇枋隼飛"と"神座──……"」
氷織の下の名前をここで初めて知り、蘇枋は苗字を口にしたところで言葉を止める。
「……………」
「そっか、君の名前、"氷織君"って言うんだね。うん、覚えた。」
「別に覚えなくても…」
「名前で呼ばれるのはあまり好きじゃない?」
「そう…だね。ロクデナシの親が捨てる同然で適当に付けた名前だから少し抵抗があるんだ」
「!」
金遣いの荒い母親と浮気性の父親。元々子供を授かるつもりはなかったのか、我が子が生まれても二人とも無関心で、愛情すら一切与えてもらえなかった。名前も頭にパッと浮かんだのをそのまま付けたのだと聞いたことがある。
「でも下の名前で呼ばれるのが絶対嫌って訳でもないんだ。今でも名前で呼ぶ人もいるしね」
「苗字もその親のどちらかの?」
「父方のね。偽名使って入学する訳にもいかないし、苗字の方は諦めてるんだ」
名簿表に書かれた自分の名前を見つめながらロクデナシの親の顔を思い浮かべる。
「あ、じゃあさ、こういうのはどう?」
「?」
「オレの苗字あげるよ」
「え?」
長いタッセルのピアスがしゃらっと揺れた。満面の笑みで自分の苗字をくれるという蘇枋の言葉を理解できず、キョトン顔を浮かべる。
「蘇枋君の苗字を…?」
「うん」
「…えっと、何で僕に?」
「神座君がオレと同じ苗字になってくれたらいいなって。あ、もちろん今すぐじゃないよ?君だって急に性を変えるのは困るだろうし」
「す、おう君…あの…」
「だからいつか、オレの苗字とお揃いになってね───。」
優しい笑みでニコッと微笑まれ、その顔に思わずドキッとときめいてしまった。
「さ、教室に向かおうか」
「(な、何今の…?心臓がドキドキしてる。というか…さっきの言葉、どういう意味だったんだろう?)」
「神座君、置いてくよー」
「あ、うん!」
頬が少し熱い気がしたが、蘇枋の声にハッとし、それ以上考えるのを止めて、彼の後を追った。
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