風鈴高校
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確かに殺気立っている杉下の邪魔をすれば、桜から自分に矛先が変わり、巻き添えを食らってしまうかもしれない。
そう思うと、ニコリと笑みを浮かべる蘇枋に何も言えなくなってしまう。
「こんな時にイチャついてんな!!早く止めてやんねーとあのよそ者…殺されちまうぞ!!」
すると桜が床の溝に踵を取られて体勢を崩したところで、杉下の強烈な拳が振り抜かれる。
けれど当たる寸前で自分の目の前から消えた桜にハッとして下を見る。
「残念空振り」
体を後ろに逸らしてブリッジの体勢で杉下の攻撃を躱した桜は、にっと勝気な笑みを浮かべて、片足を蹴り上げた。
顎下に強烈な一発をもらった杉下の体は宙に浮いたが、何とか体勢を立て直して着地する。
「狂信者ね…」
「……………」
「要は自分じゃ何も考えられない、一人じゃ何も決められないってことだろ?」
鼻血を手の甲で拭った杉下は苛立ちを浮かべ、鋭い眼光で桜を睨みつける。
「そんなヤツに…オレがやられるかよ…」
「さ…桜さん…」
どちらともなく同時に走り出し、拳を構えた時…。
《あーあー》
《あいうえおいうえおあうえおあい》
「!?」
突然聞こえたスピーカーからの声に、二人の動きがピタッと止まる。
《えーっとどこのスイッチ押せばいいの?》
《えっもう入ってんの!?言ってよーもー。》
《言ったろ!!》
「なんだよ」
スピーカーの向こうからスゥゥッと息を吸うような音が聞こえ、嫌な予感がした氷織は両手で耳を塞ぐ。
《諸君!!入学おめでとーう!!》
「(うるさっ!!)」
《バッカ、声デケーよ普通でいいんだよ!!》
《え"え"ん!?だって最初の挨拶だし…》
《ただでさえ地声がでけーのに、学校の外からも苦情がくるぞ!?》
「(あれで地声なんだ。さすがのみんなもビックリして…)」
視線を向けると彼らはスピーカーから聞こえる声の主を知っているのか、ビシッと体勢を正し、先程まで騒がしかった空気が嘘のように静まり返っていた。
「(え?)」
驚いて隣にいる蘇枋を見ると、彼らと同じようにスピーカーから聞こえる声に耳を傾けている。
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