アディショナルあとがき Vol.2

愛のカタチ(鯉登音之進/ゴールデンカムイ)


【1】ゴールデンカムイ=愛
鯉登夢書くぞ。と思って最初に考えたのは、テーマです。
割と即決で「愛」しかないだろ。と確定させました。両片思いからのハッピーエンドを目指すのは決めていたので、あまり悩まなかったかな。
何故、舞台を原作後にしたかというと、原作後舞台の夢小説ってあんまない……?と思ったからです。原作直前や原作沿い、その中でもトリップものは数多く見られましたので、みんなとは違うもの書いちゃお。というノリで決めました。

【2】芸者夢主と高級料亭
ミステリアス設定があると面白いんじゃないのぉ?と考えて、原作でも度々描かれ、切っても切れない職業であり、どこか裏とか闇を感じる花柳界。“そこで生きる主人公”という設定は、ストーリーに深みを持たせられる気がしました。
でも、いやらしい感じにはしたくなかったから、ちゃんと誇りを持って芸者という職業に向き合っている夢主にしたつもりです。
高級料亭の住み込みという設定によって、その部分も描きやすくなりました。魁燿亭のモデルは、小樽で150年の歴史を持ちつつ平成後期に閉店された老舗料亭「魁陽亭」です。一文字変えて店名をお借りしました。
ココだけの話、この設定はいつか尾形夢で使おうかなと考えていました。安易すぎるか……と思って、鯉登夢にシフトチェンジしたという経緯があります。

【3】鶴見夢
鯉登夢だけど、鶴見夢でもあるのかなぁ。と思いながら書いてました。鶴見さんも好きやから絶対出したかった。
ただ、「娘になりたかった夢主」をつくったのは、今思えばかなり踏み込んでしまった部分ではある……。
彼は、もう居ない妻子と片時も離れず愛し続けていたわけだけど、自分に懐いてくれる少女。しかも、その子は国家に翻弄されたある意味犠牲者であり、恩人が守ろうとした命であり、慈愛の情が生まれても全然おかしかないのではないかと思うたのです。
エグい試し行動があったにせよ、結局、鶴見さんは27聯隊のみんなのことちゃんと愛してたのが分かって、これまで失った悲しみや寂しさを彼らの存在で埋めてきたところがあったんじゃないかと考えました。だから夢主にも、無意識にでも“代わり”であってほしいという感情を持っていた可能性だってあるんじゃないの?と。
夢だし許してくれさい。
という気持ちで書いてました。笑
いつか、鶴見さんとの過去ストーリーも書きたい。頭の中にはある。

【4】鯉登と月島の恋愛観
夢主→鯉登は難しいことなかったのですが、鯉登→夢主の恋心のはじまりには頭を悩ませました。
私個人のイメージですが、男と男の友愛(戦友という概念)にはとても理解があるけど、女子との色恋に夢中になるタイプじゃない気がして……。原作の時点で童貞なのは確実ですし?笑
だから、(エセ)吊り橋効果みたいな出会いにしてみたというか。笑
でも、恋愛初心者の鯉登くんには手に余ってしまうはず。なので、月島さんが鯉登くんに恋心を説くお話をサイドストーリーで書きました。
月島さんの恋愛観については、原作で描かれた部分と明らかにならなかった部分とあって、これも難しかった。
ただ、面倒くさいと言いつつも、鯉登くんには自分のような辛い思いをして欲しくない一心で、二人が共に幸せになれる道を歩んでほしいと思ったろうし、例え共にあれずとも、せめて納得できるかたちで決着を付けてほしいと思ってくれたと思うのです。
月島さんの心情に関しては、私の理解力が乏しい部分もあって中途半端になってしまいました……。
でも懲りずに月島夢も書きたいぃぃ。

【5】恩人の上官
私、長編にはオリジナルキャラクターを入れちゃう夢女でして……森岡さんについても少しだけ書かせていただきます。
新任時代の鶴見さんに良き計らいをしてくれ、情報将校の何たるかを教えてくれた人。というふわっとした設定が一応あります。鶴見さんに、有坂閣下以外にも特別信頼を置ける人物がいたって可笑しかないと思うのです。森岡さんは、(「裕福な時期があった」発言から読み取るに)出自の面でも苦労してきたであろう鶴見さんの実力を、心から認めてくれていた希少なお方だったのかもしれない。
原作外の人物(何なら改変)のことですし、元々あまり深い設定は考えていませんが、最終回のサイドストーリーで触れた鶴見さんに宛られた暗号「星ふたつ」についてだけ……。
単純に鶴見さんが「中尉」だから、というのでもよかったんですけど……笑。森岡さんが「進級は“中尉”までにしておけ」と彼に助言していたことに由来するものだった、という裏設定があります。

【6】資料集
〈愛のカタチ〉を執筆するにあたって参考にした資料をここにご紹介いたします。
個人の方をはじめ各団体・機関の方々等には、とても有益な情報を発信くださり感謝の気持ちでいっぱいです。
全てを網羅したわけではありませんが、ここまで大日本帝國陸軍のことを調べ漁ったことナイ、ってくらい資料を貪りました。
※小説内では、参考資料を元にフィクションも盛り込んでおります

《参考サイト》
陸軍省(Wikipedia)
旧旭川偕行社(文化遺産オンライン)
中央官庁の集積地(三井住友トラスト不動産)
陸軍大臣官房(公文書に見る戦時と戦後)
函館駅と亀田駅(函館市地域史料アーカイブ)
入営から除隊まで絵はがき(郷愁倶楽部)
初代旭橋と馬鉄(もっと知りたい!旭川)
銚子と徳利(月桂冠)
盃洗(Wikipedia)
陸軍の朝食を再現したツジタアヤさん(ねとらぼ)
千里眼実験とその時代(本の万華鏡)
日本の化粧文化史(ポーラ文化研究所)
鹿児島弁辞典
鹿児島弁ネット辞典
恋する方言変換(薩摩弁)
今昔マップ on the web

《SNS》
X @amane_kura(蔵島 周さん)

《参考書》
写真で見る日本陸軍兵営の食事/藤田 昌雄
旭川第七師団 改訂版/示村貞夫
ゴールデンカムイ/野田サトル

2026.01.20
ハチ