さよなら僕の聖母様

 ──声がした。

「討ち取った、細川のものがついに討ち取ったぞ! 撤退だ、もう誰も生きてはおるまい」

 僕の足元には人だったものがごろごろ転がっていた。蝿が群がっている。吐きそうなほど強烈な匂いがするはずなのに、もう鼻がおかしくなってしまったからか何も感じなかった。

「天草四郎とやらが子供だったとは本当か」
「さあ……もう誰もいないんだから、誰でもいいさ」

 居心地の悪そうにぞろぞろとその場を皆が後にする。
 たすけてかみさま、そんなことを言ってみんな死んでいった。
 何が神様だ。神がいるのなら、そのひとはたいそう趣味が悪いらしい。
 最後に殺した子供は頬が痩けて、手足は棒のようだった。武器なんて持ってなかった。でも殺した。
 ほぼ何も匂いがしないのに血の匂いだけははっきりわかった。僕には血がこびりついている。大勢斬った。誰であろうと斬った。攻撃されなくても、そこに立ってるだけであっても……

 ……祈って救われるなら、そうしてほしかった。彼らの祈りが届いてほしかった。でもそうなることはなかった。神様はいない。救ってくれない、楽園になんて連れて行ってくれない。
 わかってる。意味はないのだ。……でも、僕の血なら全て捧げてあげるから。

 だからどうか、血に塗れた僕のことを──
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