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炎の中に想いを託して

「兄弟、何かいいことでもあったか」
 夕食のハンバーグを食べながら骨喰はそう問いかけた。目の前に座っている鯰尾はどこか機嫌が良さそうに見える。
「んー? 今日は誉をもらったからかなあ」
 鯰尾はそう言いながら付け合わせのほうれん草を隣に座っている堀川の皿の上に乗せようとした。
「あ、こら。僕に押し付けないで」
 そのまま堀川は強引に鯰尾の口の中にほうれん草のソテーを放り込む。鯰尾は不服そうな顔をしたまま、それを飲み込んだ。
「ねえ骨喰」
「なんだ。野菜なら自分で食べた方がいい」
「違うって! そんなどうしようもない話じゃない」
「どうしようもなくはないでしょ」
「堀川は黙って」
 お茶を一口飲んで、鯰尾は骨喰の目をしっかり見る。
 大事な兄弟。何百年もの歴史を辿った先に、ようやく再会できた大切な兄弟。
 大切なものを守るために。主との縁を守るために。戦いを続けなければならないのだろう。
「頑張って歴史守ろうね」
「……今更だな」
「決意表明ってやつ?」
 鯰尾はそう言うと大声をあげて笑った。骨喰が困ったように微笑む。
 明日も明後日もこの本丸で笑っていたい。柄でもないかもしれないが、鯰尾はそうはっきりと思っている。
 守らなければいけないものが、できてしまったから。
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