第2章 2013.10.04~信頼~
「あるべきようになるから」
最愛の人の、今は亡き妻の声が、宮水俊樹の頭にこだまする。
目の前に現れた三葉の目を見、そして窓の外の分裂した彗星を見、俺は覚悟を決めた。本当に、宮水の力は侮れないな。防災用の作業服に袖を通しながら、そう思った。
今まで、「二葉の『死』」という現実から逃げ続けていた。「これがお別れでない」という彼女の最期の言葉を信じられなかったための結果だ。非常に情けない。夫である自分が、二葉を信じてあげられなかったことに苦しくなる。
でも、これも「あるべき」ことなのかもしれない。ハハハッ、勝手な考えだ。
今はせめて、俺ができることを精一杯やろう。
「お義母さん、私たちも早く逃げましょう!三葉と四葉も、早く!」
この人たちにも、本当に迷惑をかけたな……。後でしっかり話をしなければな。
時計を見る。8時。絶対に間に合わせてやる。
今までとは感覚の違う使命感が、胸の奥にあった。