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第2章 2013.10.04~信頼~




 突然、防災無線放送が切り替わった。

 『こちらは、糸守町役場です。変電所においての、事故の発生に伴い、町民のみなさんは直ちに、糸守高校まで避難してください。これは、一時的な訓練のものでもあります。直ちに、糸守高校まで避難をお願いします。繰り返し、……』

 早耶香の声だ。でもなんで……?

 そしてさらに、

 「おい克彦、待たせたな。動くぞ!!」

 「えっ!?」

 自分の話を信じてはくれたものの「防災無線の放送が続いてる限り動くことはできない」と言っていた父に避難誘導協力要請の連絡が入った。

 そう、この親父は町長を擁護する立場、つまり役場の指示を無視する行動はできないと言い張るのだ。まったく、腐敗の匂い極まりない。

 こうなったら町長を説得しに行ってる三葉にすべてを託すしかない。もし、どうしても無理なら、俺は限界まで粘ってみんなを避難させる。そのつもりでいた。


 そこに早耶香の放送と父への要請。ってことは……!

 「三葉……!やりよったか!!!」

 俺は小さくガッツポーズをし、不適な笑みを浮かべて動き出した。消防にも出動要請が出され、町民全員が緊急避難を開始した。


 さすがは人口の少ないド田舎・糸守町。住民同士の連係プレーというか、繋がりというか、年寄りばっかりなのに行動が早い。一回携帯を取り出してみて時間を確認するが、避難開始からまだ5分も経っていないにもかかわらず、既に神社からは人はいなくなっていた。

 ちょうど8時か。なんとか間に合ってくれ!!



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